恋愛の神様





阿藤美弥とは小学校ン時一緒だった。


『私、行く。』


放課後、近くの廃墟を探検しようって男共は騒いでていて、たまたま居残っていた女子に声を掛けた。

あからさまに『男子ってヨーチねっ』と言う顔でさげすむ女子達の中で、普段はご多分にもれずそんな顔を率先してしている阿藤が名乗りを上げた。

彼女を誘った古山は、実は彼女狙いで……それを知っている俺はその返事が何となく面白くなかった。


『足手まといになるから女なんか誘うなよなー。』

『うっさいわよ。チビザルにはカンケ―ないでしょっ!』


むっかー!!

どーせ俺はチビだよ。
でもサルって言うな、単なる名字だっつーの!

女子の殆どは男子をフケツだとか、エロだとか勝手なレッテル貼って毛嫌いしていたけど、美弥はその筆頭だ。

俺は俺でそのバカな男子の筆頭だからか、特にアタリがキツイし。

なんだかんだで数人の女の子が付いてきて、俺たちは廃屋へ向かった。

以前は豪奢だっただろう洋館も人がいなくなって久しく、ボロボロに廃れていた。

探検の途中でいきなり鳴り出した古時計の音に驚いて一斉に走りだし―――直ぐに美弥がいない事に気付いた。

探そうって言っても既に半泣きの奴等は尻ごみして、俺は一人で洋館に引き返していた。

バカ美弥。

お嬢様とか言われてちやほやされて有頂天になって強気な態度だけど、オマエ普通の女となんも変わんねーだろ。
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