恋愛の神様
もう、やだ。
私何だってこんな子に……初対面の、しかも恋敵に本音をぶちまけてんだろう。
それは多分、チィ子が言いやすいから。
そんな分析はともかく、もう止められない。
「気がついたら距離が出来てて、どうしてキライなのかも教えてくれない。どうしたらいいのか分からない。」
どこがキライなんだろう。
否、どこがじゃなくて、私みたいなタイプが丸丸キライなのかもしれない。
それってヒドイ。
善処の余地もないって事でしょ?
「それでも美弥さんは猿田さんがお好きなんですね?」
「……どうせ……」
私は唇をかみしめた。
悠介が理屈もなく私をキライなように、私は理屈もなく―――悠介がスキ。
そりゃ、切欠とかこういうトコロがスキだなって思う事柄は幾つもあったけど……でも理屈じゃない。
嫌われても諦められないのはもう理屈なんかじゃないの。
「分かりました。」
一休さんが上手いトンチでも思いついたみたいな物言いに、いつのまにか俯いていた私は怪訝な顔を上げた。
チィ子は改まった顔で改めて刺しに来た。
「今アナタは猿田さんに思う存分敬遠されています。アナタの立場から言えばまさにどん底、奈落の底です。」
「い、一々アンタに言われなくても分かってるわよ!何様!?」
「そうですかぁ?実は全然分かっていらっしゃらないんじゃないんですか?このままいけば、疎遠のままなんの接点もなく、無論、嫌われている理由も分からず、それぞれ別の人と結婚して別々の道を歩んでいくんですよ?」
私はぐっと顎を引いた。