恋愛の神様
結婚?
別々の道?
「いいんですか?」
「……だって……」
私は泣きそうになった。
いいわけないじゃない。
だけどどうしていいのか分らないんだもの……。
言葉を濁す私にチィ子はずいっと更に身を乗り出してきた。
「もう一度言いますが現在『底辺』なんですよ?これ以上嫌われようがないというトコロで、アナタはこれ以上何を怖がるんです?」
私ははっとしてチィ子を見た。
「これ以上嫌われようがないのですから、どうせなら冥土の土産に力付くで襲ってみちゃいかがですか?恋敵にクダ巻いているよりずっと建設的ですよ。」
「お、襲うって、アンタ……」
思わず想像して、赤くなった頬を抑えて身を捩る。
チィ子はさっさと身を引いて、一件落着とばかりに呑気に茶を啜った。
「まぁ、どん底以上のどん底があった場合には、ご一報下さいませ。ワタクシも興味がありますので拝見に参じますヨ。」
「……人事だと思って」
思わずむっと口を尖らせると、にこっと笑顔が返された。
「大丈夫、なんとかなります。なんといってもワタクシ、恋愛の神様ですので。」
はぁ、恋愛の神様?
……この子、大丈夫かしら…。