恋愛の神様
「でぇ、…何しに来たんだ、オマエ。碌でもない用ならとっとと帰れよな。」
あ、また。
悠介は勝手に話を畳んで私から逃げるように身を翻そうとする。
私はとっさに力一杯床を蹴って悠介のお腹にタックルをかました。
「ぅわっ!」
叫んだ悠介と吹っ飛ぶようにベッドに倒れる。
「いったぁ~っ」
勢い余ってぶつけた頭にクラクラする。
「てか、そりゃ俺のセリフだっつーの!いきなり何すんだ、アホウ!」
私の下敷きになって悠介は声を荒げた。
怒るというよりは驚いている。
私は改めて馬乗りに体勢を整えた。
「……おい?」
「ウルサイわね。今からアンタを襲うのよ。何か文句ある?」
「――――はあ????」
悠介はキツネに摘まれたみたいにパチパチと瞬きを繰り返した。
私はコートとジャケットを脱ぎ捨てた。
勢いでブラウスのボタンを寛げ出した辺りで、覚醒した悠介が慌てて押さえる。
「や、チョイ待て!!落ちつけ!!オマエひょっとして酔っ払いか?一体、何がどうしたってんだよ!?」
「ウルサイわねっ、放しなさいよ!!」
手首を抑える腕を振り払おうとするが、悠介も力ずくで抵抗する。