恋愛の神様
喚きながら八つ当たりに枕を振りおろしていると、それごとぎゅっと抱きしめられた。
「悪ぃ……オマエが言うとおり、多分、根性ナシ。努力しても手に入んなかったら格好悪いから、気のないフリして逃げた。」
「なによ、格好悪いとか。どうせチビサルのくせに……」
「オマエもなっ。『お嬢様』はともかくその無駄に偉そうで意地っ張りなトコロは直した方がいいんじゃね?」
言われて私は枕ごと悠介をぎゅっと抱きしめた。
その通り、だ。
もっと早くに素直になっていればこんなに遠回りはしなくてすんだのに。
意地を張っていたのは多分お互い様。
お互い臆病だった。
そっと枕が取り浚われる。
「オマエ、顔ヒドイことになってっぞ。」
「いやぁ!洗わせてっ、直させてっ――――」
喚いて飛び起きようとするより強く、うなじを引き寄せられた。
私の無様なキスのように歯がぶつかるようなこともなく。
貪るように、深い口付け。
「美弥。好きだ。」
また涙が溢れそうになった。
「私も……悠介がスキ。」