恋愛の神様
逃げ惑う女子社員に、レオがゲラゲラと笑う。
あの子のこんな顔ハジメテ見た。
私と一緒にいるレオはもっと大人っぽい。
無論それは虎徹くんを意識していると知っている。
時折ヤンチャな顔が覗くけれども、それだって女心を擽るように計算し尽くされているんだと思う。
女の子には慣れているから……
カレは自分の見せ方をちゃんと心得ている。
だけど
―――そんなあけすけな笑顔はハジメテ見たわ。
多分アナタ、余所の女にもそんな顔は見せないんでしょう?
だってプライド高いもの。
自分の格好よさを知っていて、そうあるために努力もする子だもの。
その子はアナタにとって鎧も必要ない子なの―――?
足元から何かがゆっくりと崩壊する気配。
ねぇ、私達、共犯者でしょう?
二人で虎徹くんを裏切ったんだわ。
なのに今更、アナタだけ愛するモノを見つけたっていうの?
――――ねぇ、レオ。
アナタにまで見限られた私は、一体、どんな存在価値があるっていうの?