恋愛の神様

綺麗な女と一緒にいる草賀さんを見るのはとてもイタイ。

私の身体が知っている感触を他の誰かが感じていると思うと危うく叫びだしそうになります。

胸が引き千切れそうです。

部長に奥さんがいると知った時以上の衝撃です。

キリキリと痛む胸をファイルでぎゅっと抱え込みます。


「ぁっ……ぁあ!」


嬌声に、涙が零れました。




鈍感なワタクシはまた―――気付かなかったんですね……



失恋を慰めてもらって、快楽を教えてもらって、二人でまったりして、一緒に仕事をして、笑って、色々な話をして。

その場所はとても心地がよくて、それがどんなに稀有で幸せなモノかをワタクシは考えようともしませんでした。

どうして草賀さんといてワタクシは心地イイと感じるのか―――

草賀さんがモテルから、ワタクシ達は所詮肉体関係だけのお付き合いでしょうから、と割り切ったフリをして、ワタクシは自覚から逃げ続けてきた。

これはその代償なのです。

< 193 / 353 >

この作品をシェア

pagetop