恋愛の神様
「ピーおいで。」
言うより早くハクトさんは歩き座間にワタクシを捕獲して、タツキさんの向かいのパイプ椅子に腰を下ろしました。
膝の上に乗せられて、ワタクシはウロタエます。
そんな、タツキさんの目の前で……
しかし、ワタクシの動揺を察したタツキさんに先回りで目混ぜで制されました。
「アナタ、シロのペットなんだからペットの役目を全うしなさい。」
「ぅぅ……」
鉄の命令に項垂れます。
というか人間以下の扱いにちょっとへこみますヨ……。
ワタクシは気を改めてハクトさんに向かいました。
「そ、そんなことより!ハクトさん、一大事ですよ。タツキさんが―――」
「ピー。」
ガン、と遮る声にワタクシは飛び跳ねました。
タツキさん、凄むと歳下とは思えない迫力です。
負けます。
でも、今は負けている場合ではありませんとも。
「タツキ……ピーが怯えるってば……」
ハクトさんのぼやきはこの際、無視です。
「余計な事を言うんじゃないわよ。シロには関係ないわ。」
「余計な事!?関係ない!?大ありじゃないですか。ハクトさんにも関わる問題です。ハクトさんだって知る権利があります。」
「ないわよ。これは私の問題よ。」
「そんな―――」
「いいんだよ。ピー。」
喧々囂々の言い合いをのんびりした声が遮りました。