恋愛の神様
バニーb白兎
※※※hakuto※※※
『キレイナコエ。ステキ。ステキ。ウタ。キレイ。』
僕は歌いながら頭上を仰いだ。
青い空に羽を一杯に広げて、フワリと浮くような間を置いて、鳥が一羽僕の肩へ留まった。
それは僕が施設にいた時。
つまりそこは養育すべき大人がいない子を収容する擁護施設と言うトコロ。
周囲にいる者は、僕と同じニンゲンという形をしているけれど、まるで別の生き物だと思っている。
世話をしてくれる大人も僕と同じ立場らしい子供も。
ワケの分からないどーでもイイ事を言うし、やたら群れたがるし、なんかってーとダメって怒るし、ヘンな顔で僕の事見るし。
そんな人たちと分かり合いたいとは思えなくて、それなら僕は一人で歌を歌っている方がずっと気楽で、僕はその通り、一人で歌を歌っている事が多かった。
そしてそれを別段苦痛だとも思わなかった。
その日も例によって建物の裏手でぼんやり歌を歌っていた。
すると、どこからか鳥が一羽やってきた。
僕の肩に留まり僕の歌に聞き入り、称賛を奏でた。
その言葉に僕はほんの少しだけ母親の事を思い出した。
日頃はすっかり忘れている……というか、母親の事はすっかり僕の記憶から抜け落ちていて、思い出そうにも思いだせないのだけど。