恋愛の神様
タツキは今まで出会った誰よりもシツコクて、口煩くて、偉そうだった。
そして素直じゃないんだ。
僕がいなくなると直ぐに探しに来る。
例によって僕に悪気はなくついうっかりしたものだから、駆けつけたタツキを見るとさすがに良心が咎める。
泣きそうな必死な顔してるから。
『ゴメン。心配させた……』心からそう謝るのに『心配したわけじゃないわよっ!仕事をさぼられたら困るのよ!』と怒る。
ひょっとしたら僕よりずっとピーの事を大切にしてるんじゃないかという構いっぷりなのに、それを口にすると『アンタの鳥だから仕方なく世話してんのよ!』と怒る。
別にさ、悪い事じゃないんだからごまかさなくてもイイと思うんだけど…
その辺りのタツキの感覚は未だに解らない。
タツキはさ、僕がピーを大切にしてるって思ってるけど、心の中ではいつか殺すかもしれないなんて思ってるなんて、知らないんだよね。
知ったら、どう思うかな……。
僕から逃げようとするなら……逃げられないように僕の手の中で捻り潰す。
アノ人みたいに離れていかないように。
僕を独りぼっちにしないように。
でも、タツキは、ピーじゃないものね。
僕が言う事を聞いて歌を歌って『トップスター』でいる間は傍にいる。
分かり易いのはありがたいケド、いつか離れるって知っているのは中々複雑だね。
あの娘はピーじゃない。
タツキはずっと一緒にいてくれない。
でも仕方ないね。
僕はずっと一緒にいてくれるピーがいてくれればいいんだ。
ピーは死んでも、消えても必ず戻ってくる。
母さんがピーになって戻ってきたように。