恋愛の神様

本当はさ、最近姿を消したピーは二代目なんだ。
タツキは言わないケド。

一代目は多分、寿命だったかな。
タツキと知り合った後、数日姿を消した事があって、その時多分、死んじゃった。
僕が仕事の最中で、多分、看取ったのはタツキ。

ある日ひょっこり戻ってきたピーは妙に若かった。

分からないと思ったのかなぁ……
でも得意げに『見付けた』と言い張るタツキにまぁいいか、と思った。

だって、『キレイナコエ』って誉めてくれたからね。

それにしても可笑し……。

タツキがピーに似た鳥を探してきて、必死に言葉を教え込む姿を想像すると思わず笑えてくる。

いや、ホントは笑いごとじゃなくて
……当時、僕はピーの行方不明で、歌どころじゃなくなったから。

タツキにしてみたら死活問題だよね。

そうして二代目まで消えて、僕は再び、シマッタと思って半狂乱で探した。

だってずっと一緒にいると思ったのに。

消えるくらいなら僕が壊してしまおうと思ってたのに。


そして見付けたのが今のピー。

鳥の形をしてないケド絶対ピーだよ。

だって『キレイナコエ。ステキナウタ』って言ったんだ。


そもそも最初はハハオヤっていうニンゲンの形をしていたんだから、今更鳥がニンゲンに戻ったって驚きはしないよ。

しかし、今度のピーは理屈っぽくて、しかも逃げる気満々っぽいし……。

でも、それでもいいかな。

そう思うのは、どうせ逃げてもいつか戻ってくるんだろうなという確信があるから。


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