恋愛の神様
しかし無言になると手の感覚とか、視覚に意識が集中してしまいます。
陶磁器みたいに白い肌に一刷毛の朱が入った顔は観賞に値する色っぽさです。
赤い目もウルウルと潤んで、まるで獲れたての美味しそうな苺のよう。
時折のたうつ手中のモノは、ワタクシの知っているモノより若干スリムですが、その代わりのように少し丈があって――――
って!
悠長に観察してどうしようってんですか、ワタクシは!!
ですが、ワタクシが知っているのは草賀さんだけですもの。
どうしようってわけではなくとも比べたくなるというものです。
なんて、やっぱり悠長な観察などしている場合ではございませんでした。
「……ピーの手、気持ちイ…」
耳に吹き込まれた呟きに、ゾクリと背筋が震えました。
世界を魅了するミラクルボイスは、甘く掠れると、トンデモナイ凶器です。
それでなくともワタクシ耳は弱いんですよ。
「ハクト、さんっ……少々、近っ……」
「んー…?ん……」
快楽に没頭するハクトさんは、まるで寝ぼけたカナリアみたいな返事をして、ワタクシの肩に乗りそうな程前のめりにのめった上体を少し起こしました。
そのついでみたいにちょんっと唇同士が触れ合い、ワタクシの心臓は危うく止まりかけました。
ふ、不良ウサギに唇を奪われましたよ、今――――。
しかしこんなほほえましいバードキスなんぞに茫然としている場合ではなかったんですよ。
キスに味をしめたハクトさんは、悪びれもなく唇を重ねてきました。
「んむっ……んんん―――」
ぎやーぎやーぎゃーぁぁぁ……
手には殿方の欲望、そして淫らなキスに頭がクラクラとします。