恋愛の神様
舌は奪うという程手荒くはないくせに、どこに官能が詰まっているか心得たように容易く扉を開けはなってゆきます。
居た堪れないくらいの腰の疼きに、泣きたくなってきました。
コレは非常にマズイですよ?
何故って、ハクトさんはタツキさんの想い人。
それにワタクシが好きで、失恋しても尚心を痛めて想うのは草賀さん唯一人なのです。
それなのに……!
自分の体の節操のない反応に途方に暮れてしまいます。
ワタクシはまたもや自覚のないままにハクトさんに惹かれていたのでしょうか?
……いや、それはないと断言致しましょう。
ハクトさんはどこか憎めないところがありますが、恋や愛ではありません。
いうなれば、手のかかるペット(ウサギ)に向ける情でしょうか。
恋や愛でないとすると、これは結局、とどのつまり、
単なる肉体の素直な欲求。
単なる煩悩。
単なる欲求不満の結果、
……でしょう、ね。
女だって好むと好のまざると、刺激されれば反応もするし興奮もするんですヨッ。
はしたない話、最近草賀さんとはご無沙汰ですし……。
そこでふと、草賀さんとあの女性の姿が思い浮かんできました。
ひょっとしたらあの方とも身体が気持ちよいだけの享楽で繋がっていたとか……?
自嘲的に笑いました。
ないない。
あるとしたら、ワタクシの方でしょうとも。
ナイスバディーとは言い難いですし、セックスの妙技に長けているとも思いませんが、無二の存在とお互い認めるほどに心で繋がっていたとは思いませんもの…。
きっと草賀さんは稀代のゲテモノ好きだったに違いありません。