恋愛の神様
今度こそ逃げられないように、早く部屋へ連れ帰って籠の中へ閉じ込めてしまいたかった。
野山は考えた末、なにがしの結論を伝えようと口を開いた。
―――その時
「ピーっ!!」
叫び声と同時に、格子越しの野山が雪に覆われた。
かに見えた。
俺の目の前には雪ほどに白い肌と髪の毛の―――男がいた。
唐突に降って湧いた男は傍若無人に野山を羽交い締めにして、ピーピーと騒ぎ立てる。
「ぎえっ……!は、ハクトさんっ……!!」
抱きすくめられた野山は顔を強張らせて呻いた。
ハクト――――?
その名前にピンと来るものがあった。
確かに目の前の男はよく見りゃ、人気絶頂アイドルだか歌手の『ハクト』だ。
ナニ野山、こんなユーメー人と知り合いだったんか?
つか、どんなカンケーだ。
思わぬ介入者に茫然としている間に二人の言い合いは続く。
「ダメじゃないですかっ!なんで出てきちゃうんですか!とっとと帰って下さい!」
「ダメはピーだろ?すっごく探したんだから。何で逃げたの?早く帰ろ。」
「逃げるの当然じゃないですか!あああんなセクハラをする飼い主の元になんて一秒たりともいられませんっ!」
「…セクハラ……?…ああ、今朝のアレのこと…?えー……あんなの、オナニーの延長じゃない…」
「じゃありませんっ!!」
一体、どんな事があったんだ。
内心カチンと来た。