恋愛の神様
「ええっと……帰ってきちゃってよかったんですか?草賀さん、これから本社でお仕事があったのでは?」
「知るか。そんなもん。」
靴を脱いで先に上がった草賀さんは振り向くことなく吐き捨てました。
ココに来る間も黙ったままだった草賀さんは、この返答からしても相当ご機嫌斜めの様子です。
玄関先で靴も脱げず俯いていると、それに気付いた草賀さんが顰めた顔で振り返りました。
「あのさ。このまま帰すと思ってっか?これでもすっげー心配してたんだぞ?」
ワタクシは泣きそうになって、それが悔しくてきゅうっと唇を噛み締めました。
「……そんなのウソです。」
「アァ!?何が嘘だよ!」
「だ、だって、ワタクシがいなくなっても連絡一つしてくれなかったじゃありませんか!」
どうせワタクシなんて、居ても居なくてもイイ存在なのです。
怒鳴り声に釣られてワタクシも怒鳴り返しますと、草賀さんが「はぁ!?」と目を吊り上げました。
「連絡くらいしたわっ!つか、ダメ元だって分かっててほぼ日課みたいにしてんだよっ!!それを拒否ってんのはソッチだろーが!!大体アノ意味不明なメールは何だ。混乱さすなよ!」
「は?メール?何のことですか?知りませんけど!?」
草賀さんはポケットから携帯を取り出し、問題のメールを見せてくれました。
『ウザ。キモ。バーカ。二度と顔見せんな。』
「……………。」
どう壊れても絶対ワタクシが書かないようなメールに愕然と致します。
ついでに、ほぼ日課になっているという送信履歴も見ました。
確かに、相手はワタクシの携帯ですね………。
って、どういうことですか、これは!!