恋愛の神様
『無事に帰り付いたかしら。』
「た、タツキさん。」
聞き覚えのある声にワタクシは早速噛みつきました。
「ヒドイじゃありませんか!!人の携帯を勝手に操作するなんて―――」
『それは後よ。ともかくネットを開いて見て頂戴。帰りたくなったら、いつでも待ってるから。』
ご機嫌な声でとあるアドレスを告げ、電話が切れました。
ワタクシは怪訝に思いつつ、妙な皆騒ぎを感じて草賀さんにパソコンをお借りする旨を伝えました。
先ほどまであれほど高く感じていた敷居も第六感に唆され、いとも容易く飛び越え、中に入ります。
草賀さんにセットアップしてもらったパソコンで、先ほど伝えられたアドレスを開いてみます。
どうやら無料動画サイトのようです。
眼前に現れた映像にワタクシも草賀さんも唖然と目を見開きました。
映像は一組の男女が戯れております。
男性の膝の上に女性が座り、見ようによってはイチャイチャしてます。
はっきりと顔が見えるアングルの男性は―――見間違えるはすもなくハクトさんです。
そして後ろ姿の女性は―――……
ワタクシですか!?
遠目にもむくむくとした体形にストレートのオカッパは、毎日嫌でも鏡で確認するワタクシに間違いアリマセン。
やられました。
こんな場面は日常茶飯事で、いつのものかタツキさんに撮られていたようです。
ちなみに弁解しておきますが、イチャイチャなんかはしてないです。
断じて!