恋愛の神様
犬飼亜子
※※※ako inukai※※※
繁華街の中央にあるスカイラウンジのレストラン。
大きな窓からはイルミネーション輝く夜の街が一望できる。
ちょっと気取った紳士淑女たちのささやかな語らいとクラッシックが流れる静謐な空間。
「アナタとこうしてゆっくり外で食事するのも久しぶりね。」
食事の手を止めてそう告げると、ワインを揺らす手を止めて虎徹クンが目線を上げた。
「ああ……」
ほんの一拍言い差し、静かに続ける。
「このところ忙しかったからな。……悪かった。」
私はそっと目を伏せた。
「謝らないで。アナタが忙しいのは百も承知してるわ。」
そう。
忙しくて私を構ってる余裕なんてないと知っていて、私はアナタを裏切ってきたんだもの。
優しい双眸が私を捉え、グラスをすっと差し出してくる。
私もグラスを手に取り、グラスを重ねた。
その後は離れていた時間を埋めるようにお互い勤めて和気藹藹と語らった。
レオを傷つけて、彼女を傷つけて、私はようやく虎徹クンと会う決心を付けた。
それでも決心を付けるまでに一週間を要した。
そして、彼が都合をつけるのに一週間、ようやく週末になり会う事が出来た。