恋愛の神様
本当はレオと会ってるって……アナタを裏切ってるって知ってたんでしょう?
アナタは全てを呑みこんで、全てを赦してくれたのよね。
だけど、そんな優しさ本当は欲しくなかったわ。
私が寂しいって本当は知ってたんでしょう?
小娘ごときに不安で泣いている事くらい―――知ってたでしょ?
構ってやれない罪悪感から、私を赦してくれたの?
自分が構えないからレオに私のお守をさせたつもり?
でもね。
忙しくて会えなくても、私が過ちを犯した時には腹を立てて拘束して欲しかった。
それが私の勝手な言い分。
虎徹クンにとって私は、腹を立てる程の存在でもなく独占欲を駆り立てる存在でもなかったというだけだって分かってる。
私は分かっていたのに、分からないふりをして、切り捨てられないのをイイ事にアナタの傍に居続けた。
本当はとっくに限界なんだって知っていた。
物分かりのいいオンナのフリをし続けるのはもう限界だって…
本当は分かってたの。
アナタを好き過ぎて、いつの間にかアナタを想う気持ちは歪んでしまっていたのね。
その歪でレオとあの娘を傷付けてしまった。
あの子の歪みのない双眸に真っ向から挑まれて、私はようやく目が覚めたんだわ。
このまま何もしないでこの関係にしがみ付いてちゃダメなんだって。
私、ちゃんとしなきゃ。
逃げてちゃダメだって。
そしてコレが私の出した答え。
私を見詰める百戦錬磨のポーカーフェイスは、些かの動揺もなく静かに応えた。
「分かった。」