恋愛の神様
草賀零於
※※※reo kusaga※※※
「草賀…オマエ、いつになくブッサイクな面してやがんなぁ。」
ブライダルの仕事も本番を残すのみでほぼ終了し、通常勤務に戻った。
日々残業をしていたとはいえ、片手間では量が限られていて否応なく仕事が溜まっている。
久々に顔を突き合わせた部長にしみじみ言われて俺はブサイクと言われた面を更に顰めた。
「………ほっといて下さい。」
部長はほーん?と野太い眉を跳ねあげた。
「ひよ子が戻ってきて有頂天になるかと思いきやソレかよ。…まぁ大方察しはつくけどなー。」
にやりと人の悪い笑みを浮かべる。
「オマエ詰ったんだろ。しかも一方的によぉー。」
ぐぅ………!
俺は図星のど真ん中を突かれて押し黙った。
「まーなーオマエがすんげー心配してたのを知らんわけじゃねぇから、オマエの気持ちが分からんじゃねーけどよ。だけど一方的に責めたらダメだろーよ。アイツにも言い分ってモンがあるんだろうしよ。」
その正当な言い分に俺はバッサリ切られ、項垂れた。
野山が職場に復帰した。
休養の理由が不治の病だったため、慣れた仕事でペースを掴むようにと事務課に返されている。尤も、理由は口実だったらしくチョコマカ働いてるようだけどな。
余談だが、この人は復帰した野山に手放しで喜んだ口だ。
当然のように開口一番
『てめぇ、仕事ほっぽり出して姿を消すなんざイイ度胸だなっ!』
と怒声を轟かせていたが。
それでもその後反省してしょぼくれる野山を抱き潰して頭をワシャワシャ撫でて、セクハラだ、と騒がれるはしゃぎっぷりだった。