恋愛の神様



書類は週末を挟んだ月曜日、朝一のプレゼンで使用するもので、ワタクシの仕事は持ち込まれた書類を元に清書する事です。

この手の仕事の場合、下書きまでばっちり行って、後はもう誤字脱字のないように打ちだせば済むだけのこともありますし、パーフェクトとは言わないまでも中途半端なまま放置されている部分を、見やすいように表にしてみたりと小技を利かせて完成させることもあります。

ですが、収集が間に合わなかったという理由で内容となる資料がごそっと欠落していることもあり、そうすると要所に行って資料を集めなくてはなりません。

しかし今回、資料は全て揃っているということで、その点はほっとしたのですが。

物の数分で、ワタクシは眩暈を起こして倒れそうになりました。

資料は本当に資料のまま。
手書きの注釈は、まるで異世界語。
もはや日本語ではありえません。

資料がある分、プラス十くらいからのスタートとたかを括っていましたが実際にはそこからマイナス五十くらいです。


これをワタクシにどうしろと?


時計を見ますと定時まで後二時間もありません。

愕然とするワタクシに課長がデスクから満面の笑みで言いました。


「今回は特別に休日出勤も認めてやるよ。」


そんな贔屓は要りません。

というか、課長!
この仕事が難攻不落と知ってワタクシに押しつけましたか!?
ひどすぎです!

しかしワタクシに泣きごとを言っている暇などありません。

こうなったらヤルしかないのです。

何せ、明日はワタクシの人生を決める日、絶対に外せないのですから。



ワタクシは営業課のボンクラを大いに罵りながら、書類を切り崩しにかかりました。


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