恋愛の神様
「オマエ……よっぽどその子に惚れてんだな…。」
言わずもがなの本音をぽろっと漏らすと零於は「は?」と言って固まった。
「あ?いや……結婚を即断できるくらいその子に惚れてんだな、と。」
途端、零於の顔がこれまで見たこともない勢いで赤くなった。
…………は?
「あ……そか、これってそーいうことか。…俺って、アイツに惚れてんだ。」
「は?」
「や、惚れた腫れたの前に一緒にいるのが当たり前ってか、居心地よくて。結婚でもすりゃ、ずっと一緒にいられるだろって。子供出来たっぽいから、シメタと思って……」
……兄さんはちょっとオマエの言動が心配だ……。
惚れた腫れたの自覚もなしに、いきなり結婚とか
…相当逆上せあがってんな、コイツ。
「まぁ……幸せならイイんじゃないか?オメデトウ。」
「ああ、アリガトウ。」
俺の持ち上げたグラスに零於もグラスを重ねる。
「しかしオマエを骨抜きにしたのはどんな娘なんだか。」
「あー、幸せの青い野良の小鳥。社内を飛び回ってっから、今度捕まえて紹介する。」
「……………。そうしてくれ。」