恋愛の神様
突き付けられた紙に目が点です。
瞬きして何度も改めましたが、
………婚姻届け………。
夫の欄には既に草賀さんのお名前が記されております。
そして、証人の欄には――――
「…犬飼……亜子、さん…?」
秘書課の……多分、草賀さんの恋人だったあの女性に違いありません。
ワタクシの呟きに、草賀さんはほんの少し顔を顰めました。
「んん…。この紙にコイツの名前書くのはどーかと思ったんだが……オマエ、良い気はしないか、とか。でも分かり易いだろ。アイツはこの結婚賛成してくれてる。」
ワタクシは驚いて顔を上げました。
「ケッコン!?誰と誰がですか???」
「勿論、俺とオマエだろ。」
「……………。………結婚んんんんんんんんんん!!!!????」
妊娠に続いて思いもよらない単語に仰天です。
「いやっ、あのっ、草賀さん?いきなりそんな事言われましても…」
「ああ。その前にしなきゃならん事は山ほどあるな。とりあえず今週末はオマエの親に挨拶行くから予定取り付けろ。式はオマエと考えるつもりだが、鹿島支配人にごねりゃどうとでもなるだろ。結婚指輪も教会出入りのジュエリィー屋にゴリ押しして間に合わせて――――」
あわわわ………
草賀さんの優秀な頭脳がフル回転で明後日の方向へぶっ飛んでます。