恋愛の神様
「ともかく籍だけはさっさと入れんと赤ンボ産むのに困んだろ。」
赤………ちゃん。
はうっ!!!
すっかり忘れていました。
つまり草賀さんは妊娠させた責任を取って結婚すると言っていらっしゃるんですね?
「いや、その事なんですが、草賀さん……」
「ケッ!!ちゃんちゃらオカシイわねっ!!」
ワタクシの声を遮って啖呵を切ったのはタツキさんです。
タツキさんは草賀さんに一歩近づいて顎を聳やかしました。
「孕ませたから結婚!?だったら世のモテナイ野郎共は地道な婚活より強姦魔に弟子入りした方が早いわね!」
「アァ!?誰が強姦魔だっ!つか、黙ってろ部外者!!」
「黙ってられますか!!ピーは私達が責任もって飼うからアンタこそ必要ないわよ!!」
「コイツは俺ンのだ!!」
「私のよ!!」
怒声飛び交う戦場で、ワタクシはハクトさんを伺います。
「あのっハクトさん…」
「んー?ダイジョーブだよ。タツキに口で敵うニンゲンなんてそういるもんじゃないから。」
いやいや、そうでなくてですよ。
ワタクシはハクトさんに仲裁させるのを諦め、息を吸い込みました。
「ヤメテ下さい。お二人とも!!!」
ワタクシの一喝にピタリと二人は口を噤みました。
ワタクシは視線を向ける草賀さんに向き直りました。
うぅ…………
真剣な眼差しに心が折れそうです。
しかし、逃げる事は出来ません。