恋愛の神様
「本気で俺と恋愛しよーよ。」
コレが俺の望みなんだよな。
一緒にいるなら野山がイイ。
野山じゃなきゃダメだ。
自分勝手に甘えられる場所ってだけじゃなくて、今度はちゃんと向き合うからさ。
「俺、女の経験は豊富な方だけど、多分、本気で惚れんの初めてだし。……分かった事と言えば意外に俺、本気の相手には我儘で独占欲強くて嫉妬深くてメンドーな男みたいだけど……。」
一瞬ポカンとした野山は、次に真面目な顔で言った。
「ワタクシ、要領は悪いです。田舎者だし、器量よしでもアリマセン。そして少々理屈っぽいです。草賀さんに釣り合う人間ではありませんよ。」
面白い程ハズしてくれる野山に思わず噴き出して、その身体をぎゅっと抱きしめる。
「オマエの自覚以上に、チィちゃんはイイ女だよ?」
「買かぶり過ぎです。草賀さんの相手がワタクシでは役者不足です。でも……」
持ちあがった手が俺の服をぎゅっと掴む。
「好き、です。ワタクシ草賀さんが好きなんです。…身の程知らずで申し訳アリマセン。」
ずっと一緒にいたのに、初めて聞いた言葉。
他の相手から幾度となく聞いた手垢まみれた言葉なのに、野山の口から出るとどうしてこんなに温かくて、胸の奥が詰まるもんかな。