恋愛の神様
草賀さんが改めてワタクシに向き直ります。
「実際、今お互いに忙しいだろ?」
「はい。」
「会おうって意志がないと会えないのが現状だ。会いたいと思っても会えない事も珍しくねぇな。」
「はい。」
「都合のいい飯炊き女が欲しいって言ってんじゃねーぞ、俺は。ただ、家に帰ってきてオマエの気配があるとほっとできんの。当たり前に傍にいて欲しいんだ。このタイミングで同棲申し込むならやっぱ結婚だろ?と思うワケ。」
「はい。」
「野山小鳥さん。俺と結婚して下さい。」
ずっと保留のままの婚姻届。
お話が立ち消えたワケでないのは、お付き合いでわかりましたけども…。
草賀さんはあれから何も言いませんし、この期に及んでどのタイミングでワタクシが勝手にお出ししてよいものか、実は悩んでたんです。
悩んで、結局、仕事を理由に忘れたふりをしてやり過ごしてきたのです。
改めて草賀さんに申し込まれてほっとしたのと嬉しいのと、ごちゃごちゃデス。
「はい。」
泣きそうになるのを堪えてそれだけ言うと、腕が伸びてきて力一杯抱きしめられました。
これぞまさしく篭の中の小鳥、でしょうか。
でもその篭が草賀さんの腕の中だというなら、ずっとそこで過ごしたいです。