恋愛の神様

まぁ、いつかは欲しい、とは思ってたけど――――


「………いらねぇ………」

「は?」


俺の呟きを聞き損ねて怪訝な顔で問い返す虎徹に、俺は癇癪を爆発させた。


「もー子供なんざ、どーでもいい!!出来なきゃ出来なくったって、二人でそれなりに幸せならそれでイイだろーがよ!?」

「ま、まぁ。そりゃそれでイイとは思うが……いきなりどうした成り行きでそう思いだしてんだ、オマエは。」

「だってアイツ『あんまりし過ぎると出来ないんですってよ?』とかなんとかいって最近触らしてくんねーんだよっ。コレ、どー思う!?ヒドクね!?毎度エロイ事するわけじゃねーのに部屋まで別にされた!!どーよこれ!?」

「……オマエが最近残業してる理由はソレか……」


虎徹が呆れたように溜息を吐いた。


そーだよ。
悪ぃかよ。

目にはいりゃどうしても触りたくなる。

だけど、その度に拒否られて、コッチもやや意地。

虎徹が感心した風に呟く。


「お前等、新婚気分もボチボチ抜ける頃だってのに未だに仲イイな。俺等ントコロは直ぐに子供出来たこともあって、夫婦でイチャイチャした記憶がほとんどない。」


そこまで来て、ははん?と目を眇めた。


「オマエ、途轍もなくシツコクしたんじゃないか?例えば、部屋ン中移動するにも後追って、挙句次の日も鑑みず残業の深夜帰宅で、無理矢理起こすような……」


ギクッ


「だ…だって、しゃーねーじゃん?なんつーかもうクセっつーか、中毒っつーか。触ってねーと落ちつかないってか…。」

「オマエは一歳児か。ウチの長男も一時はトイレにまで追っかけて行ったが、既にその時期を卒業したぞ。」


ぐぅ…!

…さすがに俺もトイレにまでは付いていかねーけど…。

< 343 / 353 >

この作品をシェア

pagetop