恋愛の神様

ドキドキしながら顔を命一杯近づけます。

ビジョンに収まらなくなっちゃいますが、ド近眼なので仕方ないです。

まるで寝込みを襲う破廉恥女子のような有様のまま、ワタクシはフリーズしてしまいました。


何故でしょう。

なにやら見覚えのあるパーツです。

この目、この鼻、この口―――



「……………何故、草賀さんがここに?」


登場する場面をすっかり間違えています。

ここは草賀さんの様な美男子でなくとも、ワタクシの運命のヒトでさえあればいいのですからね

―――――て…………あら?

先ほどの定義に基づきますと運命の人=草賀さんになってしまいます。


は………まさか。


自分に冷静になるよう強制しますが、またも気づいた重要な事実に思わず絶叫を迸らせそうになりました。

この男=昨日関係を持った男というなら、ワタクシは草賀さんと……その……シちゃったワケでしょうか!?

そんなまさかと思うものの、ワタクシの身体の至るトコロが昨日の行為を知らしめるようにズキズキ痛みます。

あまりの衝撃事実の連続に我を忘れて途方に暮れていますと、突然強い力に引かれました。


「はぁよ、チィちゃん。てか、まだ早ぇーよ。」

「お、おはようございます。ところであのっ………の、前に放してくださひ!」


前のめりに倒れ込んだトコロは広い胸板。

ワタクシはまるで草賀さんを抑え込むみたいに乗り上げています。

て、下から腕で抑えられているのはワタクシの方ですが。


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