恋愛の神様

ワタクシは二年前の出来事から現在に至るまでを掻い摘んで説明いたしました。

二年前の面接であったコト、そして運命の人のコト、そして運命の人探しに日夜精進してきた二年間と半年強の日々。

そして昨日の男がいかに運命の人に似ていたか、といった事まで。


そして結論。

ワタクシの二年前から探しているという運命の相手は、多分、どうやら、草賀さんらしいです。

完。



ワタクシの話を聞き終え、草賀さんはにわかに唸りました。


「んんん。……悪ぃけど、その話が本当なら覚えてねーや。」

「いえ。それは全く結構です。」


本気で謝っているらしい草賀さんにワタクシは冷静に応えます。

そもそもワタクシが探したいから探していた相手であって、相手が忘れていようがいまいが関係のないことです。

第一、相手の気持ちを鑑みて恋をするようでは片思いなど務まりません。

草賀さんは前髪を無造作に掻き上げながらどこか遠い目で苦く呟きました。


「……まぁ、その頃、結構荒れてたからそのくらいのことは平気でしてたかもな。」


ワタクシはその『らしくない』表情に目を凝らしました。

しかしそれもつかの間で、ついと視線を戻した草賀さんは、改まった様子で話を纏めにかかりました。


「と、言うことは、だ。オマエが探してたのは俺ってことで良いんだな?」

「ええ。確証はありませんが。おそらく。」

「別にオマエが俺だって思ってればいいんだろーが。期待ハズレってワケじゃねーだろ?」

「ええ。……まぁ、その辺りは……」


期待以上でした。

私は熱くなった頬を隠す手立てもなく呟きます。

すると先ほど持ち上げられた身体が再び倒されました。


今度はベッドの上に。

その上に何故か草賀さんまで倒れて来て、密着度は先ほどと同じです。

いえ、ですから。

お互い裸なのですよ。


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