恋愛の神様
自分がプライドの高いカッコ付け強いだというのは自覚がある。
妙なトコ負けず嫌いだし、弱味握られるのキライだし、男の前でも女の前でも格好をつけたがる。
亜子の前でもそれは同じで。
なまじ相手が虎徹だから、比べられンのが嫌で尚更気ぃ張ってるトコロはある、よな。
だけど。
対等と見ていないからか、野山を相手にする時はとことん気が抜けている。
こないだなんか、呼びつけておいて寝ちまったし…。
挙句に、朝、野山に起こされ『よだれの跡付いてますよ。』と指摘された。
一応言い訳するけどな、三日ぐらい徹夜もどきの残業が続いて寝不足だったんだ。
疲れてる時程ヤリたくなるってのは本当で、大人しくガマンも出来ず切りが付きそうだったその日呼び出した。
大体にして眠気を誘う野山も悪い。
ぽかぽか温かくて、ぽわぽわ柔らかくて、抱きしめたらすっかり心地よくなって爆睡していた。
予想外に上手い飯で腹を満たした後、キッチンで片付けをしている野山を後ろから捕獲する。
んー、あったけぇ…。
和むが、本日は性欲の勝ち。
意外に豊かな胸を掌でタノシミながら、首筋に顔をうずめて、クスッと笑う。
「チィちゃん、魚臭ぇ」
肌を擽る吐息にもぞもぞしながら野山は赤い顔で不本意だと口を尖らせる。
「仕方ないじゃないですかぁ……すみませね、所帯染みていまして!」
それから、何かを考え込むように黙してしまった野山を覗きこむ。
「何考えてんだ?」
「えと。この場合、路線は二通りかと。生活臭を極めて裸エプロン。もしくは脱日常を目指すべくスケスケ下着にガーターベルト、とか……」
ぶはっ、と俺は噴き出した。
「ち、チィちゃんてマジ、笑わしてくれるよなー。」
「む。ワタクシどこまでも本気ですけど?」
「ヤメロ!そーぞーさせんな、腹いてぇー。」
「シツレイです!」