迷う気はあるか



【なら、とっとと入れ】




「う……うん」








中はそんなに汚くはなかった




どちらかというとキレイな方だ






【で、おぬしは何の用できた?】





さっきから思っていたけど





透き通っていて



キレイな声だった





「お参りに……」




【ここには30以下のおなごはきてはならぬ




そう言うしきたりがあっただろう?】






「聞いてないですけど」





【今は何年目だ?】



「はい?」





【今は何年目だと聞いておるのだ】





「2008年ですけど…」





【そうか…時が経つのは早いな



あれから4万年後か】




「よ…4万年…!!?」




【長い時の間にしきたりは


忘れられてしまったのか】





「いったいあなたは…」




【すまぬな…われが化け狐だ




4万年前に25歳だった



母親を…我が喰ったのだ】




「く……!!!?」




【だから30歳未満は立ち入りを禁じたのだ】





「…………」




【それをおぬしが破った



我は成長し、多少は制御できるように



なったが、おぬしを喰うかもしれん




生きて帰りたければ我に近付くな】







私…我ながらやばいところに





来ちゃったかも…!!






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