Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪


不自然だろう。


思わず胸の中で突っ込む。


なんで簡単な挨拶が交わせないんだ。


イラっとして、向けられた背をにらむ。


麗華をエスコートしていた兄の方が怜士の視線に気が付いて、静かに見つめ返した。


怜士は自分の子供っぽい行動を反省し、兄の宏樹に軽く頭を下げた。


少しとまどった顔。


以前、会ったことのある今泉怜士と、ここにいるダバリード次期総帥と結び付けていいものかと迷っているのが伺え
る。


まだはっきりと肯定するのは早い気がして、怜士はさりげなく視線を外した。


「あ~らら~」


過去にも聞いたことのある、愉快そうなアイーシャの声に、こめかみが微動する。


「おまえ、騙しただろう」


アイーシャはちらりと怜士を見上げた。
< 132 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop