Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
「彼女は元気か?
息子は順調に育ってるか?」
一枝のことだった。
怜士と麗華の再会を仕組む連絡があったのは、だいぶ前だ。
覚悟しておけ、という言葉が、一枝らしくて苦笑いしたのだが。
だから、その日から宏樹も父親も、いづれこういう日が来ると思っていた。
怜士が帰国して、麗華の気持ちが成就しなかったことを一枝に電話で告げたら、鼻先で笑われたことは黙っておく。
宏樹は父親の質問にうなずいた。
「ええ。
尚希と名づけたようです」
“それでも尚、希望を持って。
どんな時でも、人生の希望を持って欲しいから。
私にさえ、最後、この子という希望が手に入った。
だからこの先を歩むこの子にも、それを忘れて欲しくない。“
波の音に混じり、穏やかな一枝の声。