Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
4.毒見
*
震えたスマホの画面を見て、一瞬美和は固まった。
「はい、ごきげんいかがですか一枝さん」
いつも通り、ネアカに出る。
「ご機嫌麗しいよ」
皮肉っぽいのは変わらないが、声に凛とした張りは無かった。
色々聞きたいことはあったが、美和は触れなかった。
体調の事とか。
今どこで暮らしているのかとか。
組の跡継ぎとして甥っ子が産まれると、一枝は全てを捨てて、どこかへ行ってしまった。
全てだ。
夫にまでなった尚也さんが必死に探しており、美和の所にも聞きに来た。
でも、それを一枝さんは十分予測しているのだろうから、あえて言わなかった。