あなたの子どもを抱く日まで
壁に取り付けたシートを外す男を残し、一階に下りると、トラックの前には若い方の男がいた。


背が高く寡黙な男が、がらんとした荷台に残った荷物を、ひとつ一つ、これは作業用のものだと説明する。


確認なんて必要ない。


大切なものなど、もうなにも持ってはいないのだから。


「じゃあ、確認のサインをお願いします」


若い方の男が紙を差し出す。


華奢で幼さの残る左手の薬指に、指輪はない。あの中年の方の男と同様に。


だれかれ構わず、男とあれば薬指をチェックしてしまう。


こんな意地汚い女にいつからなってしまったのだろうか。


「あれ、ペンどうしたっけな?すいません、ちょっと待っててください」


男が運転席へと走っていく。
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