奏 -かなで-
・・・
「…thinking out roudっていうんだ、
この曲。」
呟く彼の声にはっと我にかえる。
いつのまにか曲は終わっていて、
まわりは私と彼以外いなかった。
「あの…!
…えっと…すてき…でした。」
また、彼がくすくすと笑う。
「ありがとう。」
彼がギターをしまうのをみつめる。
「……あの!
…またきます……!」
彼は目だけこちらを向いて、そう、と呟いただけだった。