奏 -かなで-
「…じゃ、そろそろでよっか。」
カフェを出る頃には、もう雨はやみかけていて、傘をささずに駅まで行く。
ホームで、2人の乗った電車を見送る。
カバンの中の携帯。
母からの着信1件。
『夜ごはんいるの?
ちなみに今日はにくじゃがです(^ ^)』
最近、絵文字を覚えた母親のメールをみて、幼いなって思う。
そっけない数文字のメールを返信して、携帯をしまった。
「….…。」
カバンの中身を見て気づく。
何度確認してもない…よなあ。
傘をおいてきてしまったみたいだ。
電車まであと少ししかないけど、なんとなく気に入ってる傘だから…。
雨が止んだ道をみて、決心する私。
やっぱり雨なんか嫌いだ。