君と奏でるノクターン
「だったら、何で『指は?』って毎回聞くんだ?」
詩月が苛立って訊ねる。
「噂より直接聞いたほうが確かだろ。それに、無茶をしてるみたいに見えるからだ。何もかも背負いこんで、自分を追いこんでいるように」
「あ……師匠の奥さんからも同じことを言われてる。だけど正直、意味がわからない」
「はあ!? お前が練習以外、演奏すること以外に趣味はないみたいに演奏してて、満足できないみたいな様子が心配なんだ」
「いくら弾いてもJr.と呼ばれる。いくら弾いても、まだ本気を出せていない、輝かないと言われるのに満足なんてできるわけがない」
「お前、重症だぞ。コンプレックスの塊、重症なファザコンだ」
「……ファザコン!?」
「あの周桜宗月と対等でなんて無茶だろう? しかもウィーン、此処は彼の本拠地だぜ。彼と比較されるだけでも恐れ多い、名誉じゃないか」
詩月が苛立って訊ねる。
「噂より直接聞いたほうが確かだろ。それに、無茶をしてるみたいに見えるからだ。何もかも背負いこんで、自分を追いこんでいるように」
「あ……師匠の奥さんからも同じことを言われてる。だけど正直、意味がわからない」
「はあ!? お前が練習以外、演奏すること以外に趣味はないみたいに演奏してて、満足できないみたいな様子が心配なんだ」
「いくら弾いてもJr.と呼ばれる。いくら弾いても、まだ本気を出せていない、輝かないと言われるのに満足なんてできるわけがない」
「お前、重症だぞ。コンプレックスの塊、重症なファザコンだ」
「……ファザコン!?」
「あの周桜宗月と対等でなんて無茶だろう? しかもウィーン、此処は彼の本拠地だぜ。彼と比較されるだけでも恐れ多い、名誉じゃないか」