君と奏でるノクターン
若い男は「そう言う貴方は何者ですか?」憮然として訊ねる。
「エィリッヒ、いいのかい!? 宗月は親友だろう」
マスターがカウンターから、穏やかに言う。
「宗月は、もっと荒削りだった。ったく……レッスンでも、こんな演奏をすれば、声を荒げて叱責などしないのに」
若い男が詩月と紳士を交互に見つめる。
「えっ!? 貴方の弟子?」
「詩月は演奏にムラがある。気分が乗らないと、あからさまに心此処に有らずの素っ気ない演奏をする」
マスターがカラカラと笑う。
若い男は目を白黒させる。
「あの青年、なかなか粋な計らいをする。詩月にもあーいう友人がいるんだな」
エィリッヒはミヒャエルが、詩月のピアノ演奏を食い入るように聴いている姿に目をすがめる。
窓際の席。
ミヒャエルの表情は、逆光でカウンター席からは見えない。
「エィリッヒ、いいのかい!? 宗月は親友だろう」
マスターがカウンターから、穏やかに言う。
「宗月は、もっと荒削りだった。ったく……レッスンでも、こんな演奏をすれば、声を荒げて叱責などしないのに」
若い男が詩月と紳士を交互に見つめる。
「えっ!? 貴方の弟子?」
「詩月は演奏にムラがある。気分が乗らないと、あからさまに心此処に有らずの素っ気ない演奏をする」
マスターがカラカラと笑う。
若い男は目を白黒させる。
「あの青年、なかなか粋な計らいをする。詩月にもあーいう友人がいるんだな」
エィリッヒはミヒャエルが、詩月のピアノ演奏を食い入るように聴いている姿に目をすがめる。
窓際の席。
ミヒャエルの表情は、逆光でカウンター席からは見えない。