君と奏でるノクターン
「パガニーニによる大練習曲」第3番嬰ト短調「ラ·カンパネッラ」――。

リストが作曲した4つの「ラ·カンパネッラ」の中で、最も常識的な難易度の曲だ。

ピアノの高音は鐘の音色を表現する。
器用さ、大きな跳躍の正確さ、小指薬指など弱い指の機敏さを鍛える練習曲でもある。

最大で15度の跳躍がある。
この跳躍を16分音符で演奏した後に、手を移動する時間を与える休止がないまま、2オクターブ上で同じ音符が演奏される他、薬指と小指のトリルなどの難しい技巧を含んだ曲。

ヴィルトゥオーソ(超絶技巧演奏家)と呼ばれる周桜宗月が最も得意な曲だ。


宗月はいつも共演するヴァイオリニストを相手に弾いているかの如く、全く容赦なくピアノを弾く。

詩月は、それに戸惑うことなくピタリと合わせる。


「凄い技量だ。ピアニスト志望にしておくには惜しい」

ハインツが目を輝かせる。
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