君と奏でるノクターン
――あの人に、周桜宗月に果たし状……そうだった
詩月は呟き、ふらつきながら立ち上がる。
肩にかかったハインツの上着をサッと畳み、礼を一言添えて、ハインツに手渡す。
「気合い、入れてきます」
ハインツは、その顔に迷いのないことを確認し、静かに頷く。
――今日の演奏が、詩月のウィーンデビューになる。宗月は、それも頭に入れている
ハインツは、宗月の演奏を聴きながら、並みならぬ思いを感じて、背筋を伸ばす。
宗月のマネジャーをデビュー以来、20年余り務めているハインツ。
出の前の宗月は、普段より神経質だが、今日ほどピリピリした宗月をハインツは知らない。
演奏中に、今日ほど緊張感を感じる宗月の顔も初めて見る。
「不器用だな」
ポツリ呟き、時計を見る。
詩月の出番が、刻々と迫る。
――大役を引き受けてしまった
詩月は呟き、ふらつきながら立ち上がる。
肩にかかったハインツの上着をサッと畳み、礼を一言添えて、ハインツに手渡す。
「気合い、入れてきます」
ハインツは、その顔に迷いのないことを確認し、静かに頷く。
――今日の演奏が、詩月のウィーンデビューになる。宗月は、それも頭に入れている
ハインツは、宗月の演奏を聴きながら、並みならぬ思いを感じて、背筋を伸ばす。
宗月のマネジャーをデビュー以来、20年余り務めているハインツ。
出の前の宗月は、普段より神経質だが、今日ほどピリピリした宗月をハインツは知らない。
演奏中に、今日ほど緊張感を感じる宗月の顔も初めて見る。
「不器用だな」
ポツリ呟き、時計を見る。
詩月の出番が、刻々と迫る。
――大役を引き受けてしまった