君と奏でるノクターン
「お前さん、ケルントナー通りでヴァイオリン弾いてる学生だな」


「はい」


「運が良ければエィリッヒ、ユリウス、宗月の演奏も聴けるぞ」


「そうなんですか?」


「国際電話で二重奏だって!? 粋じゃないか。なあ、マスター」


「そうだな。詩月、向こうの時間に合わせて弾かないか? お前の演奏なら、いつもより楽しく過ごせそうだ」

その後。
ミヒャエルとマスターの案で、モルダウのマスターに連絡し、郁子にはサプライズも計画。

二重奏を知らせる広告、ポスターは酒場のマスターとモルダウマスターの案を借り、手作りして配布した。


――こんな大袈裟な話になるとは……


詩月は内心思いつつ、こうした緊張感もいいなと感じている。

詩月が雪を祓って店に入ると、既に出来上がった客に迎えられる。


「よお、来たな詩月」

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