君と奏でるノクターン
ミヒャエルは、饒舌に話す詩月の様子に、こんな奴だったか? と思う。
ミヒャエルには、詩月が数日前の周桜宗月コンサート後から、どこか雰囲気が違って見える。
「ワインはイケる口か?」
「いや、たしなみ程度」
ミヒャエルは詩月の微かに笑っている顔に、まんざらではないなと思う。
「音大の優秀なピアニストとヴァオリニストがいるんだ。第九でパーっと景気づけなんてどうだい?」
既にほろ酔いの客が、一声。
「はあ? 即興なんて……それに俺、ヴァオリン持ってきてないぜ」
「ミヒャエル、『シレーナ』を好きなように弾くといい」
「『シレーナ』っ……お前のヴァオリンを!? 簡単に言うなよ」
ミヒャエルが尻込みしつつ、詩月にすがるような目を向ける。
――『シレーナ』なんて、難しいヴァオリン弾けるわけがない
ミヒャエルには、詩月が数日前の周桜宗月コンサート後から、どこか雰囲気が違って見える。
「ワインはイケる口か?」
「いや、たしなみ程度」
ミヒャエルは詩月の微かに笑っている顔に、まんざらではないなと思う。
「音大の優秀なピアニストとヴァオリニストがいるんだ。第九でパーっと景気づけなんてどうだい?」
既にほろ酔いの客が、一声。
「はあ? 即興なんて……それに俺、ヴァオリン持ってきてないぜ」
「ミヒャエル、『シレーナ』を好きなように弾くといい」
「『シレーナ』っ……お前のヴァオリンを!? 簡単に言うなよ」
ミヒャエルが尻込みしつつ、詩月にすがるような目を向ける。
――『シレーナ』なんて、難しいヴァオリン弾けるわけがない