君と奏でるノクターン
「何でぇ、詩月は寝ちまったのかい!? これからが楽しみだってえのに」


「なあに、宗月やエィリッヒ、ユリウスのセッションには起こすさ」


「ずるいよな、毎年1番盛り上がってる時間を狙って入ってきやがるんだぜ」


「はははっ」

酒と客の会話、様々な楽器、歌声で賑わう店内。

詩月はごった返した騒がしさの中にも関わらず、寝息を立てている。


「こうしていると、普通の学生なのに」

マルグリットがコートを畳み、席に着いてポツリ。


「マルグリット、ユリウスたちは?」

ミヒャエルがマルグリットの耳元で、そっと訊ねる。


「宗月とエィリッヒ、3人で1曲練習してるのよ……スタジオで」


「練習!?」


「すっごく難しい曲、パガニーニもリストも真っ青みたいな曲なの。楽譜見て驚いたわ」


「あ……」

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