君と奏でるノクターン
貢は郁子を見つめ、考えるような仕草をする。


「まあ、気にしないでおこう」と呟き、「あははは」と暢気に笑う。


「あの伝説って毎回、同じ旋律が聴こえるのかどうかも不明だしな」


「そうなの?」


「クリアした奴、周桜以外聞かないし。あいつ、凄い強運だよな」


「それは言えてる。メール、CDの話題で来るかしら?」


「来ないなら、俺が喧しく言ってやる。それでもダメなら理久の出番だな」


「理久ね~、確かに幼なじみで兄貴分の理久から言われたら、嫌でも返信してくるわね」


「まあ、便りのないのは良い返事とも言うぞ」


貢は、おおらかに笑ってみせる。


「クリスマスカードに、プレゼント付けて送ってやれよ。向こうの冬は氷点下にもなるくらい寒いらしいから」


郁子は薄く頬を染め、しおらしく頷く。

< 23 / 249 >

この作品をシェア

pagetop