君と奏でるノクターン
エピローグ
「CDが凄く評判になってるわね」


「『ヴァイオリンロマンス』だな。郁と周桜が弾いたピアノの二重奏がCDに入ってないのは残念だよ」


「いいのよ。あのピアノの二重奏は――。わたしと周桜くんだけの曲なんだから」


「ちっ、熱い熱い」


「理久? あなたも早く彼女をみつけなさいよ」


「大きなお世話、俺は彼女なんて面倒くさい存在は作らない」


「って言いながら、理久は詩月に週3で『体は大丈夫か』ってメールしてるんだ」


「えーーっ!?」


「バカっ、人をホモみたいに言うな。詩月は心配して声かけしなきゃ、無茶ばかりするんだ」


「あら、ウィーンには、貴方よりうるさく声かけしてる人がいるでしょう?」


「ダメダメ、アイツ……ミヒャエルは詩月を振り回してるだけだ。詩月を酒場に誘うなんて奴は信用できない」


「妬くな妬くな」


「誤解を招くようなことを言うな」


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