君と奏でるノクターン
――Eveに弾いたオリジナルを修正して録音した。オリジナルは公表しない、特別だからな
郁子は安心し、胸を撫で下ろす。
――調子はどうだ? 明日のコンクール。
緊張したら聴いてほしい人を思い出せ。「音楽は……」
「わかってる。『音楽は心』」
――完璧な演奏ではなく、納得のいく演奏をな
郁子は詩月のアドバイスに頷きつつ、本番でそんな余裕なんてないなと思う。
――何を弾くんだ、本選の自由曲?
「ショパン、ショパンの『雨だれ』」
郁子はこたえて、スマホをハンズフリーにし、ピアノを弾き始める。
―― ……あ
詩月が小さく声を漏らす。
「どうしたの?」
――雨が降ってきた、雨音が……ショパンの「雨だれ」みたいだ
郁子はその声を聞き、微かに笑った。
Fin.
郁子は安心し、胸を撫で下ろす。
――調子はどうだ? 明日のコンクール。
緊張したら聴いてほしい人を思い出せ。「音楽は……」
「わかってる。『音楽は心』」
――完璧な演奏ではなく、納得のいく演奏をな
郁子は詩月のアドバイスに頷きつつ、本番でそんな余裕なんてないなと思う。
――何を弾くんだ、本選の自由曲?
「ショパン、ショパンの『雨だれ』」
郁子はこたえて、スマホをハンズフリーにし、ピアノを弾き始める。
―― ……あ
詩月が小さく声を漏らす。
「どうしたの?」
――雨が降ってきた、雨音が……ショパンの「雨だれ」みたいだ
郁子はその声を聞き、微かに笑った。
Fin.