君と奏でるノクターン
丁寧な形の整った文字。

鮮やかな青いインクで書かれた、洗練され大人びたペン習字の手本のような美文字。


貢は思わず、溜め息を漏らす。


「前にも思ったけど、みごとな達筆だな。左手で書いている文字とは思えないよな」


貢は詩月の書いた訳詩を読みながら、呟く。


「へぇ〜、何かずしりと来るな。メロディの綺麗さが尚、胸に突き刺さるような」


「アニメ映画の訳詩と感じが違うでしょう?」


「そうだな……アニメ映画の訳詩だと、ここまでの意味は伝わらないな」


「歌詞から意味を汲み取らなきゃいけないのよね」


「まあ、メロディに歌詞を当て込まなきゃいけないからな」


「日本語だと長くなるわね。
これを辛い時や悲しい時、……レッスンに行き詰まった時に読むと、励まされるの」


郁子が歌詞を見つめて、柔らかに微笑む。


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