君と奏でるノクターン
あの曲をピアノで……と思うと、郁子は不安でたまらない。
どれほど練習すれば、あのヴァイオリンに遜色なく弾けるのか?
どう弾けば、あれほど感性豊かに弾けるのか?
課題が多すぎる、郁子はスマホを握ったまま項垂れる。
「また、溜め息かい?」
マスターが、郁子に声をかける。
「マスター、周桜くんから難題を出されてしまって」
「難題、嬉しい難題だろう?口元は緩んでる」
言いながらコトリ、カップを置く。
「試作品なんだけど……」
「わあ~、かわいい」
笑った顔の雪だるまが描かれたカフェラテに、気持ちが和む。
どこかマスターの顔に似ている、郁子は思う。
「ラテアートの講習を受けてきたんだよ」
マスターが、照れたように笑いながら口にする。
「彼はできないことをやれとは言わないよ。引き上げてくれる相手がいるっていいよね」
どれほど練習すれば、あのヴァイオリンに遜色なく弾けるのか?
どう弾けば、あれほど感性豊かに弾けるのか?
課題が多すぎる、郁子はスマホを握ったまま項垂れる。
「また、溜め息かい?」
マスターが、郁子に声をかける。
「マスター、周桜くんから難題を出されてしまって」
「難題、嬉しい難題だろう?口元は緩んでる」
言いながらコトリ、カップを置く。
「試作品なんだけど……」
「わあ~、かわいい」
笑った顔の雪だるまが描かれたカフェラテに、気持ちが和む。
どこかマスターの顔に似ている、郁子は思う。
「ラテアートの講習を受けてきたんだよ」
マスターが、照れたように笑いながら口にする。
「彼はできないことをやれとは言わないよ。引き上げてくれる相手がいるっていいよね」