君と奏でるノクターン
「見てもいい?」


「ええ、どうかしら? 上手くできたと思うんだけど」


詩月は紙袋を開き、中に入ったクリスマス飾りを手に取ってみる。


松ぼっくりを幾つか並べ、丸く型取りクリスマスカラーで色付けしたリース。


細い針金で、ポインセチアや小さな靴下、ステッキなどを飾り付けている。


「綺麗。マルグリット、器用だね」


「そお?」


マルグリットは運転しながら、嬉しそうに言う。


「市販のリースより、綺麗にできてると思う」


「ありがとう」


「何処に飾るの?」


「1つは玄関。もう1つは、そうね……」


マルグリットは考えながらウィンカーを上げ、ハンドルを左に切る。


師匠ユリウスの自宅とは逆方向に、車を走らせる。


「!? ユリウス先生の……」


詩月は身を乗り出す。


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