君と奏でるノクターン
「ユリウスには連絡を入れてる。レッスンはお休みよ」


「あの……」


「詩月、たまには息抜きをしなさい」


「でも……レッスンは」


「窮屈なレッスンばかりしていても楽しくないわ。弾きたい曲を思い切り、難しいことは考えず弾けるところに連れていってあげる」


マルグリットの言っている意味が、詩月には理解できない。

明るい声、歌うような笑顔でマルグリットが何か言っている。

詩月の頭には、それが言葉として入っていかない。


マルグリットは喫茶店を兼ねたサロンのオーナーをしている。

無名の演奏家が、演奏を披露する場所。

街頭演奏のような雑多な場所ではなく、室内で寛ぎながら聴いてもらえる場を提供している。


楽器の種類、音楽のジャンルも様々な演奏。
演奏家の年齢層も幅広い。

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